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誰が聞いてもわかりやすい英語?

ちょっと尖ったお話です。

僕の知り合いに、英語の上手な日本人の女性がいます。上手とはいっても、ネイティブのようなアクセントやリズムで話すわけではありません。カタカナ英語ではあるんですが、言葉につまることなくスラスラ話します。それに、使っている単語も洗練されているというか、よく勉強しているのだなとわかる英語です。

そんな彼女を見ていて、単純に「どうやって勉強したのだろう?」と気になりました。それで、こう聞いたんです。

「どうしてそんなに語彙力があるのですか?」

すると彼女はこう答えるのです。

「私の英語って誰が聞いてもわかる英語なんです。前職で『誰が聞いてもわかりやすい英語』を叩き込まれたので。」

「…」

とても得意げな彼女の様子にちょっと違和感を覚えました。(そもそも僕が聞いた、なぜ語彙力があるのかの答えになっていない)

何に違和感を持ったかというと、「誰が聞いてもわかりやすい英語」というところです。

僕はそんな英語はないと思っています。

まずはじめに、彼女の英語はがっちりと日本語アクセントが入っています。それが悪いというわけではありませんが、日本語アクセントの英語を「わかりやすい」と思うのは日本人だけでしょう。(韓国語と日本語は似ているから韓国人もわかってくれるかも)

次に、「誰が聞いても」というところですが、英語を話す人は大きく2つに分かれます。ネイティブと非ネイティブです。ネイティブの英語はさらに、アメリカ英語・イギリス英語・カナダ英語・オーストラリア英語・ニュージーランド英語・フィリピン英語・インド英語などに分かれます。ネイティブと一口に言っても、これだけのアクセントがあるのです。そして、非ネイティブの英語はそれぞれの母国語に影響を受けた独特なアクセントを持っています。ネイティブ英語にしても非ネイティブ英語にしても、自分が生まれ育った地域でメインで話されている言葉、すなわち母語が影響しているというのがわかると思います。母語に影響された英語を理解しやすいと思うのは、その母語を話す人だけです。イギリス英語はイギリス英語でも、標準イギリス英語を話す人はコックニー英語を理解するのはたやすいことではありません。

以上の理由から、誰が聞いてもわかりやすい英語なんて存在しないと思うのです。

僕が彼女の言葉に疑問を抱いた理由はもうひとつあります。

それは、彼女がとても得意げだったことです。

「自分が話す英語は誰からも理解されるべきもの」というその態度は改める必要があると思います。そういう態度でいると、いざ相手が自分の英語を理解できなかったときに、相手を上から見てしまうというか、自分は悪くないというスタンスになる恐れがあるからです。特に相手が自分より英語力の低い場合にそれが顕著になるでしょう。(相手がネイティブなのに、自分の英語が理解されないのを相手のせいと思う人はいないと思いますが)

そうではなくて、自分の英語が日本語に影響を受けたカタカナ英語であることを認めることが大切です。「自分は悪くない」ではなくて、自分に悪いところがないかどうかを考えること。これはあらゆることに応用できる重要な考え方だと僕は思っています。

そうしないと、ただ自分の主張を通すわがままで終わってしまいます。なにか摩擦が生じたなら、それはお互いがお互いの主張を押し通そうとしている証拠です。相手の気持ちを汲み取ろうとすることで、別な解決策を見つけやすくなったり、穏やかに収束したりするものです。

話が飛躍しすぎてしまいましたが、誰でも理解できる英語なんてない!というのが僕の主張でした。彼女と機会があったら、それについて話をしようと思います。もちろん、彼女の意見を尊重しながら、、、



Naoki