今回は、トロントにある変わった形の観光名所をご紹介します。
トロントのダウンタウンにある観光名所「グッダーハム・ビルディング(Gooderham Building)」、通称「フラットアイロン(Flatiron)」。
この細長い三角錐の形状をしたこの建物、どこかで見覚えがないでしょうか。
実はこれとよく似た建物がニューヨークにあって(しかも同じく「Flatiron」という名前)、それはスパイダーマンやゴジラなどの映画の撮影で使われていたようなんです。(だから見覚えがあったとしたらそれはニューヨークのものですね)
トロントも映画産業が盛んな街ですので、何かしらの撮影に使われていそうですよね。
ちなみに「Flatiron」は直訳すると「平らなアイロン」。工業用のアイロンと形が似ていることからそう名付けられているみたいです。正式名称である「Gooderham」はこの建物を建てた ジョージ・グッダーハム(George Gooderham)さんの名前です。
地下鉄のKing Station から徒歩3分に位置し、すぐ隣には セントローレンスマーケット(St. Lawrence Market)があります。トロントに住んでいれば一度は行くことになるであろう特大マーケットです。
さて、グッダーハム・ビルディングを建てたジョージ・グッダーハムはかなりすごい人だったようです。
(出典:"Dictionary of Canadian Biography," http://www.biographi.ca/en/bio/gooderham_george_13E.html)
1837年に義理のお兄さんと小さな蒸留所をスタートすると、30年弱で西カナダで最大の蒸留所に成長させます。1875年までにカナダの酒製造の3分の1を占めるまでになりました。
こうして蒸留所で成功を収めた一方、次々と他の事業も手がけてヒットさせていきます。事業内容は鉄道、船、銀行、保険、小売、ホテルなど多岐に渡りました。
当時の社会では、ビジネスの成功者は地元への影響力を誇示するために大きくて目立つ建物を建てるというのが流行していたようで、ジョージはその波に乗るようにして、1891年にグッダーハム・ビルディングを完成させました。
このビルはただの見せ物ではなく、実際に彼が手掛けるあらゆる事業の本社として使われました。トロント市内を一望できる最上階に部屋を構えたジョージは、そこから自分の電車や船、銀行、蒸留所、ホテルを見下ろすことができたということです。
この建物を設計したのは デヴィッド・ロバート・ジュニア(David Robert Jr.)で、彼はジョージの自宅の設計も担当しています。ジャーヴィス・ストリート(Jarvis Street)にある自宅は、グッダーハム・ビルディングと同じロマネスク様式を採用したレンガ造となっており、こちらも一見の価値ありです。
トロントの観光地をお探しの方は、ぜひ足を運んでみてください。
Naoki