“That’s too bad.” はなぜ “It’s too bad.” ではないのか?
「残念ですね」という表現は "That's too bad."と言いますが、"It's too bad."というのはあまり聞かないです。"that"は「あれ、それ」と学校で習ってきたと思いますが、「それ」の意味で使うとき "it" とどう使い分ければよいのでしょうか?
thatは文脈全体、itは特定のものを指す
日本語にすると「それ」と訳すことができるthatとit。前文で出てきたものを受けるときに使う代名詞というやつですが、大きな違いはthat=文脈全体、it=特定のものを指すということのようです。
たとえば
「昨日新しいTシャツ買ったんだけど、めっちゃかっこいいんだよね」
というときに
I got a new T-shirt! That's so cool!
というとちょっと変です。
Thatは前文全体を受けるものなので、こうしてしまうと「昨日新しいTシャツを
買ったこと」がcoolだという意味になってしまいます。自分で自分のしたことをcoolと言うのは変ですよね。
だからここでは、
I got a new T-shirt! It's so cool!
が正解なわけです。
でも、この2つの文が2人の会話で、
A:I got a new T-shirt! (昨日新しいTシャツ買ったんだー)
B:That's so cool!(えーいいね)
となれば、BさんはAさんが昨日新しいTシャツを買ったことに対して「いいね」と言っているとわかるので自然です。
もうひとつ例を見てみましょう。
How was your weekend?(週末どうだった?)
How was your weekend?ってよく聞かれる質問だと思うんですけど、これに対してItとThatのどちらで答えればいいかもうおわかりでしょうか。
答えはItです。
It was awesome.(最高だったよ)
ここでは、your weekendという特定のものを聞いているのでItで受けなければなりません。
このくらいの単純な会話であればなんとなくの感覚でもわかるような気もしますが、きちんとルールを知っておくとさらに理解が深まっていいですね。現地での生活で何気なく使う表現にも、よく見ると文法的な面白さが詰まっていて楽しいです。
こういう「実はこんなルールがある」みたいなものは、ある程度その表現を知っていて初めて「それはおもしろい!」と感じるものです。最初から「That=文脈全体、It=特定のもの」と教わってもなかなか「へ〜」とはならないでしょう。
留学中の生徒さんは、日々英語に触れていますからこうした発見がおもしろいと感じると思います。逆に出発前の生徒さんは、あまり文法ばかりやろうとすると「つまんない」となってしまう可能性がありますので、映画やドラマ、Youtube、英会話などを通して生の英語に触れることも意識してみてください。
Naoki