カナダの先住民族イヌイットとは
2020年7月にオープンしたウポポイ(民族共生象徴空間)。北海道を代表する先住民族アイヌの文化を伝承・共有するための重要な施設です。
北海道民としては、やっぱりアイヌに興味が湧くわけで、個人的に今行きたいスポットNo.1です。
さて、僕の第2の故郷カナダにもいくつかの先住民族が生活しています。カナダの憲法では大きく分けて3グループの先住民族が認められています。
今回はそのなかのひとつで、3グループのなかでもっとも人口割合の少ない、「イヌイット」をご紹介します。
イヌイットとは
カナダの北部ヌナブト準州に住む先住民族で、人種的には日本人と同じモンゴロイド。
総人口およそ15万人で、身近なところでいうと札幌市南区のそれと同程度。イヌイットという民族の名前は彼らの言語であるイヌクティトゥット語で「人」を意味するInukからきています。もともとは「エスキモー」という呼称がありましたが、「生肉を食らう野蛮人」という侮蔑的なニュアンスを帯びるようになったことから「エスキモー」の呼び名を拒否したという経緯があります。
地球上で最も寒冷な地域に暮らす民族で、カナダ以外にもグリーンランドやアラスカにも住んでいます。動物の毛皮をまとって現代文化とはほど遠い暮らしをしているイメージがありましたが、意外にもスーパーや衣料品店を利用するようです。
とはいえ興味のある伝統的な生活様式
都市部に住む一般人とほとんど変わらない生活をしているとわかっていても、やっぱり気になるのが彼ら独自の伝統。アイヌの方々もそうですが、やはり独自のアイデンティティを持っている方々はそれを守り抜き受け継いでいくことに力を入れています。そう考えると、伝統に目が行くことは悪いことではありませんよね。
食生活
主に肉食で、地域によって多少の違いはあれど、オットセイやセイウチ、クジラなどの海洋哺乳類やトナカイを捕獲して食べることが多いそうです。ヌナブト準州は上の地図を見てもらえばわかりますが、北極圏付近の海に囲まれた地域。海でとれた生肉を保存するのに最適な環境です。
生肉を主食にするメリットはそれだけではありません。この地域は太陽光が弱く紫外線が少ないのですが、少量の紫外線では体に必要なビダミンDを作り出すことができないんだとか。ところが生肉は、ビタミンDやその他必要な栄養素がたくさん含まれているすぐれもの。
イヌイットが遥か昔から現代まで途絶えない背景には、そんな食生活事情があったのです。ちなみに、現代風の食生活を取り入れた昨今は健康問題が深刻化しているそう。
衣服
狩猟で捕らえた生き物の肉を食べ、外側の毛皮を衣服にする。極寒の地域で生き延びるためのアイディアとしては当然のものでしょう。毛皮を身に纏ったイヌイットの姿は、このブログを書くためのリサーチ中に何度も見ました。
現在は最新のアウトドア製品を着こなすことが多いとのこと。狩猟への規制がかかっていることと、おそらくそれに伴う猟師の不足が関連しているようです。どちらの方が温かいのか、ぜひ体を張って確かめてみたいものです。
おわりに
ブログを書きながら、無知であることは本当に怖いことだなと思い知らされます。イヌイットが長い歴史のある先住民族だというだけで、日々動物と闘って食料を確保してるのかなとか本気で考えてしまっている自分がいました。一方で、自分はヌナブト準州に降り立ったことがないので、あくまでもネットの情報しか頼るものがありません。
イヌイットのみなさんの暮らしが実際はどうなのかというのは、やはり自分の目で確かめに行かないとですよね。ただふらっと海外に行くのではなく、十分にリサーチをしてその内容と現実を擦り合わせる、みたいなことをするとまた違ったかたちで海外での生活が楽しめるのではないでしょうか。
Naoki