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未来の表現のニュアンスを探る

英語の文法に「未来形」は存在しません

以前こんな記事を書きました。

英語の時制というのは動詞の活用によって決まるのですが、英語では動詞の活用によって未来を表すことはできない。だから英語という言語には「未来形」は存在しない、というお話でした。



とてもしっくりくる考え方なので「英語の未来形否定論」を布教してまわっているのですが、僕自信まだまだ中高で習った記憶が邪魔をしているなあと感じた出来事が。

昨日イギリスやカナダ、オーストラリア、マルタなどにキャンパスを持つ語学学校ECのオンラインレッスンのトライアルに参加したのですが、授業の中で「英語に未来形は何個あるでしょう?」という問いかけに対して普通に「2個か3個」と答えてしまいました。

他の参加者の方たち(たぶんみなさん日本のエージェントの方)も同じように考えていたようで、先生がいたずらな笑みを浮かべ「英語に未来形はひとつもないんだよ実は」と言ったときには、「しまった!」と思いました。

と同時に、やはり英語には未来形は存在しない、という考え方が間違いではないのだと確信できた瞬間でもありました。

未来の表現はいろいろある

英語で未来のことを表現しようとするとよく出てくるのは、「will+動詞の原形」「be going to +動詞の原形」「be動詞+動詞のing形」の3つです。

日本人の私たちに一番馴染みがある、というか英会話の練習でとっさに出てくる率がもっとも高いのはwillのようです。昨日の授業でもみなさんwillを使うことがもっとも多いとおっしゃっていました。

だけど、この3つの使い分けをきちんとしないと誤解が生まれてしまう恐れがあります。大切なのはこうした違いをまずはきちんと知ること、そして意識しなくても使い分けられるようになるまで意識しまくるということです。


それぞれのニュアンスの違い

「will+動詞の原形」「be going to +動詞の原形」「be動詞+動詞のing形」

この3つは、準備がどの程度できているかによって区別できます。

昨日のトライアルレッスンでは、1週間前に上司にお願いされていたプロジェクト(今日が期限)の進捗を確認されたときにどう答えるか?というシチュエーションで説明を受けましたが、それがわかりやすかったです。

Don't worry, we'll finish the project in an hour.「will+動詞の原形」
Don't worry, we're going to finish the project in an hour.「be going to +動詞の原形」
Don't worry, we're finishing the project in an hour.「be動詞+動詞のing形」

この3つの文は文法的にはどれも正しくて、「1時間後にプロジェクトを終わらせる」という結末は同じです。ただし、ニュアンスが全然違うので気をつけなければいけません。

「will+動詞の原形」「be going to +動詞の原形」「be動詞+動詞のing形」の3つのうち、もっとも計画性を感じるのが「be動詞+動詞のing形」です。反対に、「will+動詞の原形」で答えてしまうと「今からとりかかる、何も準備してきていない」感が出てしまいます。よくそんな状態で「Don't worry」と言えるな、もっと焦ろうよ、となります。

willでもっとも多い用法は自分の意志を示す表現です。willは「今決めたこと」を表現する意志の用法が一番多く使われます。未来のことはとりあえずwillで言っとけ、と思っているとこうした場面では明らかにミスコミュニケーションが生まれてしまいます。

「be going to +動詞の原形」には、go「行く」という動詞が現在進行形で使われています。つまり、「ある方向(ここではfinish)に向かっているところです」という響きが出るので、上司からすると「あー、とりかかってはいるんだな。よし、1時間待とうか」という気持ちになります。

もっとも安心感を感じるのが「be動詞+動詞のing形」。これは現在進行形を使用していますので「今まさに進んでいます」というニュアンスが出ます。「finishというアクションが進行中」なので、終わりかけと捉えてもよいのかもしれません。そのため「be going to finish」よりももっとfinishに近い状態であることがわかります。


言葉ひとつで与える印象が全然違う

というわけで、同じ未来の表現でもどの単語を使うかで相手に与える印象が全然違うことがおわかりいただけたかと思います。こうした違いがあることを知っているか知らないかで、吸収できることも大きく変わってきますので、ぜひ文法をないがしろにせずに勉強をしていただきたいなと思います。

Naoki