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「びっくりした」は I was surprised. か I surprised. か?

留学中ほど感情の起伏を経験することはないのではないでしょうか。
ワクワクドキドキでスタートした留学生活中には必ず辛い思いをする時期があります。
かといって辛いことばかりではなく、楽しい思い出も星の数ほど作ることができるでしょう。

いろんな感情を経験しひとつひとつ乗り越えることで人は成長していくもの。
その意味では、現地での会話において自分の感情を表現することは数多くあります。

そこで、ちょっと考えてみてほしいです。

「びっくりした〜」と英語でいうとき、次のどちらが正しいと思いますか。

I was surprised!
I surprised!


日本語の矛盾

答えはひとつめの I was surprised! です。

なんだこんなの簡単じゃないか、と思った方もいるかもしれませんが
実はこれ、英語をある程度勉強していないと確実に間違ってしまう問題なのです。

その原因は私たちの話す「日本語」にあります。

日本語では、感情を「自分の意思でおこなう動作」として捉えます。
(日本人は、と言っているのではありません。日本語が、です)

たとえば、ドッキリを仕掛けられて「ひゃ〜」とか「ひょ〜」とか奇声を上げて、ネタバレされたとします。
そしたらあなたは安堵して、「あ〜めっちゃびっくりした」とかって言いますよね。

ここで、「びっくりする」について考えてみてほしいのです。

「〜する」というのは、本来自分の意思でおこなう動作を言うときに使います。
「留学する」「勉強する」「英語を話す」
全部自分の意思でおこなうことです。

ところが私たち日本人は感情を表現するときにもこの表現を使ってしまいます。
すなわち、「びっくりする」「怒る」「満足する」などです。
形が同じなのですから、当然意味も同じになるはずと考えると、
日本人は「びっくり」や「満足」といった感情を自分の意思で感じに行っていることになりますよね。



ところがその論理に納得できる人はいないでしょう。
無論、感情は「ある原因があって勝手に感じる」ものであり、「自分から感じにいく」ものではないからです。

感情の捉え方は全人類共通のはずですから、日本語の「びっくりする」という表現は、「感情はある原因があって勝手に感じるもの」という普遍原理に逆行しているといえます。

だから日本人は間違えるのです。
日本語のネイティブである私たちは、感情表現のときには日本語の感覚を捨て去る必要があります。

英語の感情表現は理にかなっている

幸か不幸か、英語はこの感情の原理に則った表現の仕方をします。

ポイントは、英語の感情を示す動詞はほとんどが「(感情を)与える」という意味を持つことです。

surprise = 驚きを与える
excite = 興奮・わくわくを与える
disappoint = がっかりを与える

さて、最初の問題に戻りましょう。

I was surprised! が正しくて、I surprised! は間違いだと言いました。

なぜだかわかりますか?

I surprised! から説明しましょう。
surprise は感情を示す動詞ですから「驚きを与える」です。
だからこれだと「私は驚きを与えました」という意味になってしまいます。
そもそもこれは文法的にも間違っていて、「誰に」驚きを与えたのかという「目的語」が必要です。
それは置いておいても、「私は驚きを与えました」では「私=驚きの原因」になってしまっていますよね。
「原因が他にあって、私が驚いた」と言いたいわけですから、明らかに間違いです。

では、I was surprised! をみてみましょう。
どうしてこれが正しいかというと、was surprised で受身の形になっているからです。
受身の知識がないとピンと来ないかもしれませんが、一言でいえば「受身=れる・られる」です。
つまり、「驚きを与える」が「驚きを与えられる」になっているのがこの表現です。
もっと端的に「驚きを受ける」と言ってもよいですね。
すると、「私が驚きを与えられた」「私が驚きを受けた」というのは「私が驚いた」となり、成立しますよね。


まとめ

・日本語の感情の表現の仕方は間違っている
・英語の感情表現の動詞は「与える」
・感情を感じるときには受身で「受ける」

このルールは感情を示す動詞の99%に適用できるので、ぜひ覚えておきましょう。

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