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Do you wanna swim? の本当の意味

こんにちは、北海道留学センター カナダ留学担当のNAOKIです。

日本でいくら英語を勉強しても、現地に行かないと気がつかない微妙なニュアンスというものがあったりします。こういう小さくて微妙なニュアンスの違いが原因となって誤解が生じたりする、というお話をしたいと思います。

みなさんは "want to + 動詞の原形" でどういう意味だと習いましたか?

僕は(というか、たいていの中学校ではそうだと思いますが)「〜したい」という意味だと教わりました。
この表現には、実はネイティブならではの微妙なニュアンスがあります。

 

高校2年の冬休み、オーストラリアのケアンズに短期留学をしたときに、こんなことがありました。

クリスマスの時期ということもあり、ステイ先のホストファミリーのおじいちゃんおばあちゃんの家に泊まりに行きました。家はプール付きの大豪邸で、なんとも優雅なクリスマスになったわけなんですが、いいことばかりではありませんでした。

10歳のアダムと8歳のトーマスはプールでおおはしゃぎ。僕も彼らと一緒に遊びたかったんですが、なにしろ「かなづち君」だった僕はプールで楽しめる気がしないので、リビングでくつろぐことにしました。

しばらくすると、プールでびしょ濡れになった弟トーマスが近づいてきて、僕にこう聞きました。

Do you wanna swim?

プールにだけは絶対に入りたくなかった僕は、つたない英語で自分が泳げないことを伝えます。トーマスはしょんぼりした顔でプールに戻っていきました。

トーマスを満足させられずちょっと心を痛めた僕ですが、できないものはできない。仕方なくリビングでおじいちゃんおばあちゃんとお話をします。

30分くらい経った頃でしょうか、またトーマスがこちらに向かって歩いてきます。

Do you wanna swim?

「いやさっきも言ったけど、泳げないんだから泳ぎたいわけがないじゃん」と思いながらさっきと同じように断ります。

結局このやりとり、合計4回やることになりました。しかもトーマスは毎回 Do you wanna swim? と聞いてきます。「泳ぎたい?」って聞かれているわけですね。「一緒に泳ごうよ」とかならまだわかるんですが、泳げないことがわかっているにもかかわらず、泳ぎたいかどうかを確認するってどう考えてもおかしいですよね。僕は結局、トーマスがちょっぴりバカな子なんだということにしておきました。

さて、それから4年後。僕が大学を休学してカナダへワーホリをしたときのこと。ホテルでハウスキーピングの仕事(ホテルの部屋の掃除)をすることになった僕は、初日にカナディアンのナンシーというふてぶてしい女性に仕事を教えてもらっていました。そうすると新しい部屋に入るたびに、こう言われるんです。

Do you wanna grab a vacuum?

え?と一瞬考えました。「掃除機を持ってきたいかどうかを聞いてるのか?」と思ったからです。そんな趣味ないぞ、と思いながらもナンシーがふてぶてしいので否定もできず、要は掃除機を持ってこいと言っているのだと理解していました。そしてあるとき、トーマスのことを思い出した僕はようやく Do you wanna ~? という表現には、「〜してくれる?」というお願いのニュアンスがあることに気がつきました。Do you wanna swim? は「一緒に泳ごうよ」というお願いだったんですね。トーマスはちっともバカな子なんかじゃありませんでした。

 

こんな風に、日本で英語を勉強するだけではわからない、現地に行って初めて気がつくことというのは結構あります。どんな表現がネイティブに多用されているか、なんていうことも行かないとわからないことのひとつですね。こういう気づきを増やしていくと、自分の表現のレパートリーがどんどん増えていきます。それでも、気づきを増やすためには事前にどのくらい表現を知っているか、ということが大事になってくるので、やはり留学出発前はしっかり勉強しておきましょうね。



ちなみに、トーマスにしつこく誘われた僕は、仕方なくプールで遊ぶことにしましたが、プールの底が想像を超える深さで、プールに入った瞬間に溺れました。そのときのトーマスの白い目は今でも忘れません。