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「クロアチア人に恋をして怒らせた話」

知らない人の恋バナというのは聞いていておもしろくないかもしれませんが、聞いてください。

生きていれば1人や2人好きな人ができるわけですが、僕は自分がフランスにいるときに「一夏の恋」をいたしました。
お相手は同じ語学学校に通っていたクロアチア人の女の子。
長い金髪をなびかせ、どこからどう見てもTHE美人なんだけど決して飾らない、無邪気で元気な子だったと記憶しています。
ひょんなことから仲良くなってグループでよく遊ぶようになりました。

(注)写真はご本人ではありません

ある日の夜、いつものようにみんなで集まって、町を流れる川のほとりにある遊び場で遊んでいたときのこと。
僕はみんなが遊んでいるのを少し離れたところから眺めていて、その子を見ながら「なんて無邪気なんだろう」と、そう思いました。
そしてなんだかそれを本人に伝えたくなってしまったんです。わかりますか。



しかし、これが災いの元でした。

帰り道、その子に「さっきは楽しそうだったね、なんだか子供みたいだったよ」ということを英語でつたえました。
(※フランスだからフランス語でしゃべれよって話なんですが、その子も僕もフランス語より英語の方がコミュニケーションがとりやすかったので、フランス語で話すことはほとんどありませんでした)

ところが、です。

僕は致命的な過ちを犯してしまいました。

「子供みたいだった」というのを、特になにも考えずに "You were childish." と言ってしまったのです。

これを聞いた金髪美人はたちまち怒りのスイッチがON!

「私は医者の卵なのよ!私は学歴も高くて親は私をとっても誇りに思ってくれているわ!子供っぽいってどういうことよ!」

これ以外にもなんかすごいいろいろ言われたんですが、僕が覚えているのはそれだけです。

あれは時間にしておそらく3分もなかったと思うんですが、一方的にまくしたてられました。女性の言語能力ってすごいなーと感心しました。

で、彼女が何に怒っていたかっていったら、もちろん "childish" というワードチョイスについてです。
今だったら、"innocent"(無邪気な)とか、"You were like a kid having fun with toys."(おもちゃで遊ぶのを楽しむ子供みたい)とかって言えたなと思います。

"childish" は「幼稚な、子供っぽい」という相手をけなすときに使うネガティブな意味の形容詞なんですよね。それを知らなかった自分が悪いわけですが、なにせ自分の意図と真逆の意味で捉えられてしまったので、大変困りました。

これも、日本人同士だったら、説明すれば「あーそういうことね、けなされてるのかと思った」で済むんでしょうが、そうもいかないのが異文化コミュニケーション。何度釈明しても聞き入れてもらえず、事態の収束に数日を要しました。

最終的に許してもらえましたが、この一件ですっかり萎縮してしまった僕は、その後二度と彼女に声を掛けることはありませんでした。

今回は、1人の日本人男性(当時26歳)の儚い一夏の恋が終焉を迎えるだけで済みましたが、これがビジネスのお客さんだったり、大切な友達との関係を傷つけるような結果になることのないよう、単語の勉強ひとつとっても慎重にしなければなりませんね。

Naoki