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現在形って使わなくないですか?

カナダへのワーキングホリデーを予定しているSさん。
大学を出て社会人を数年経験したSさんが、渡航を前に英語の勉強を始めました。

仕事でアメリカ勤務をしたこともある親戚のお兄さんに、「おれは文法の勉強をしっかりやって現地に行ったほうがいいと思う」とのアドバイスを受け、中学英語の文法から復習をすることにしたそうです。

そんなSさんが先日カウンセリングにいらした際に、「全然関係ない質問していいですか?」というので「なになに、なんですか」と聞くと、

「現在形ってなんですか?」

(ちょっと誇張しましたが概ねこのように聞かれたと解釈しました)

そんなの中1の一番最初に習うやつだろ!そんなのも知らないのに留学なんていっているのか!と思ったそこのあなた。
これはとっても大事な問題です。Sさんよくぞそこに気がついてくれた!
なんでも、Sさんはこう思ったそうです。

『「私は学校に歩いていきます」なんて日常会話で使わなくね?』『「私は英語を勉強します」なんて日常会話で使わなくね?』

使わないことはないとは思うんですが、たしかに実用的には思えませんよね。僕も中学のときによく思っていました。ここで大事なのは、現在形の概念とは何かを知ることです。

僕が現在形の本当の意味を理解したのは大学の北星英文で文法の授業(英文法クリニックっていう授業名を数年振りに思い出して歓喜)を受けた時でしたので、英文科で英語を専門的に勉強している人でもない限り、現在形の壁にぶち当たるのは無理もないことなのです。

さて。

みなさん、「現在形」をどう説明するでしょうか?

「過去でもなく未来でもなく現在のこと」「〜です、〜だ、〜する」

中学高校で習ってきたことはせいぜいこのくらいだと思います。(少なくともこのくらいしか覚えていないでしょう)
これは間違ってなんかいません。間違ってはいませんが、ごくごく表面的な理解にすぎません。
僕は冒頭で紹介したSさんの「現在形ってなんですか?」に「現在形は習慣です」と答えました。

私は学校に歩いていく → 月曜〜金曜まで、学校に行くときは基本的に歩いて学校に行くスタイルだよ、おれは
私は英語を勉強します → 日常的に英語勉強してるよ、毎日とは言わないけどね

ってな感じです。

代表の東出が大推薦している英文法書「マーフィーのケンブリッジ英文法(中級編)」を開いてみると、こんな風に書いてあります。

現在形は一般的な事柄を述べるために使う。例えば、習慣的または継続的に行われていることや、一般的に事実であると認められていることを指す。それが、話している時点で実際に行われているかどうかは問題ではない。

このように習慣だけでなく、「あの会社は22時までやってる」とか「AirDropは写真とかデータをすぐに送るときに役に立つ」とかいう事実を述べるときも現在形を使えます。

そう考えると、日常会話の中で現在形の登場シーンは多いです。中学英語の例文に出てくるような内容は実用的でないことは間違いありませんけどね。

さてさて、今回僕が訴えたかったのは現在形の使い方うんぬんではなくて。

Sさんがどうしてこんな疑問を持ったのか?そこが一番大切です。

今回の疑問は、中学や高校の僕たちのように英語をただ教えてもらっている、受験のために勉強しているだけでは絶対に出てこない疑問です。Sさんはこれから留学を控えていて、本気で英語を身につけたいと思っている。だからこそ、自分が使うシーンを想像したときに「え、現在形って実用的じゃないよね?」という疑問に至ったのです。

出発前に英語を勉強することが大事なのは、こういうところにも秘密があります。自分が使うことを想像し、受け身ではなく自分から学び取ろうとする姿勢。これが出発前に習慣化されていれば、現地に行ったときにもぐんぐん英語が伸びます。

Sさん、その調子でがんばってくださいね!



Naoki