そんなつもりで言ってないのに、とんでもないことを言ってしまっていた!なんていうことありますよね。
日本人の英語初学者がやってしまいがちなミスのひとつに、「aのつけ忘れ」というのがあります。
英語は日本語と違って、ある名詞が数えられる場合にはaをつける必要があります。(複数形にしたり、theやmyなどが付く場合は別)
aは「ひとつの、1人の」という意味でしょ?別にaがなくても意味通じない?
そうやって思っている方多いと思います。僕もそう思っていた人間です。まあ、通じるは通じる。だけど、aがあるのとないのとでは頭に思い描くイメージがまるっきり異なってしまうのです。
①I like dog.
②I like a dog.
正しい文はどちらですか?
そう、②です。
aの基本的な役割は、カタチが明確にあるものの輪郭をイメージさせるというものです。
今回の場合なら、a dogとすることで犬の輪郭(影)を想像させることになります。
イメージはこんな感じ。
輪郭を想像するだけなので、大きさとか犬種とかには言及していません。あくまでも犬という個体が好きってこと。
まあ、実際には「犬が好き」と言ったら「犬が1匹好き」ではないので、a dogというのもちょっと変で、I like dogs.と犬を複数形にすることで「いくつもの犬」感を出すのが普通です。
さて、ここからが本題。
①の間違いの文についてです。学校英語ではこの文は単に「誤り」で処理されるだけですが、深掘りをしていきたいと思います。
「I like dog.」は、aがついていません。
aがついていないということは、暗に「このdogという名詞は明確なカタチがない(=輪郭が想像できない)」ことを示すことになります。
別の言い方をしましょう。
明確なカタチがない名詞というのは、たとえばwater(水)やoil(油)などの液体だとか、bread(パン)やrice(お米)など「切断しても引き続きそうと言えるもの」を指します。パンは真っ二つにぶった斬ってもパンと言えますよね。お米だってそうです。
もう一度言います。
ある名詞にaがついていないということは、すなわち真っ二つにぶった斬っても変わらずそうと言えるものということになるのです。
さて、じゃあ I like dog. はどうなっちゃいますか?
今から怖い話をします。(※気分を害される方もいるかもしれませんが、aのつけ忘れはそれほど怖いことだということをご理解ください)
犬を真っ二つにぶった斬るなんてことは非道極まりないですね。だって、普通「犬が好き」って言ったら日本人の感覚であれば「ペットとして可愛いと思う」ってことじゃないですか。
ところが恐ろしいことに、I like dog.と言うことはつまり、
犬を真っ二つにぶった斬っても引き続き「犬」と言える
と解釈できるということです。
そして、実際にそれが成立する文脈がひとつだけあります。
肉です。
肉は真っ二つにぶった斬っても肉だし、ミンチにしても肉です。
日本では考えられないですが、世界には犬を食肉として扱う地域もあるみたいです。I like dog.と言ってしまうと、「犬の肉の味が好き」と言っていることになっちゃうのです。
aというたった一文字があるかないかで、こんなにも意味が変わってしまいます。aを軽視していた皆さん、犬でも猫でも自分の好きなペットにはせめてaなりsなりtheなりつけてあげてください、、、
Naoki