「語学力はあとからついてくる」
先日、大学時代お世話になったフランス語のM先生にお会いした時にこう教えられました。
どういうことでしょうか?
M先生が若いころの話をしてくれました。
M先生にはアメリカで働いている叔父さんがいました。それも、日本人の彼がアメリカの会社を取り仕切る立場で、です。
あるとき、その叔父さんを訪ねにアメリカに行ったときのこと。それはもう素晴らしい英語力を備えていたのだろうと思って部下と話す彼の英語を聞いてびっくり仰天。ひどいカタカナ英語で、よく部下も聞き取れているな、というほどだったのです。
そのとき、M先生はこう思いました。
「英語の発音や流暢さの前に、語れるものがあるかどうかが大事なんだ」と。
M先生は、もうひとつ印象的な話をしてくれました。
それは今抱えている学生が、短期研修でフランスへ留学したときのレポートについて。その学生は語学学校で世界各国から集まる学生たちと出会い、お互いの国について話す機会が多くあったそうです。そして、こう記しました。
「自分の国の宗教について聞かれて、何も答えられなかった自分が恥ずかしかった。フランス語ができるできない以前の問題だった」
この2つのストーリーを、M先生は「語学はあとからついてくる」と結論づけました。
いくら語学が上達しても、語る内容がないと意味がない。逆を言えば、語る内容があれば語学は自然と上達する。
もちろん、これは留学先で、現地で、の話です。
世界中の人たちと出会う場である留学先では、嫌でも自分の国について説明してあげる機会があります。
政治や宗教、歴史、文学、漫画、アニメなど、「日本」に対して外国人が持つ疑問は多岐に渡るでしょう。そこできちんと自分の立場として、自分の意見を伝えられるかどうか。
これから留学をする人には、ぜひ日本のことを少しでも知って、そして自分の意見を堂々と語れるようになっておいてほしいものです。そうすれば、「もっと伝えたい」「もっと日本のこんなことをわかってほしい」という思いがどんどん湧いてきて、結果的に言葉を学ぶモチベーションにつながります。
僕自身、それは反省すべき点で、今後も日本のことをよく知っていくために勉強していかなきゃならないなと感じました。
NAOKI