え?「私の友達」はmy friendだけじゃない?
留学中、自分の友達のことを話題にして話すことはよくあります。
「このあいだ友達に会ってさー」
「日本にいる友達が昨日の夜電話くれてさー」
こんなふうに「友達」と言いたいとき、真っ先に浮かぶ英語は「my friend」だと思いますが、「my friend」を乱用していると、相手に真意が伝わらない時があります。
「自分の友達」と言いたいときには主に以下の2つがあります。
my friend
a friend of mine
それぞれどのようなニュアンスの違いがあるのでしょうか。本題に入る前に、冠詞と呼ばれる「a」と「the」の違いについて少しだけ触れさせてください。
a penとthe penの違い
少し前に「This is a pen.」をネタにしたギャグが流行しました。それも世界的に。まさか日本の教科書英語があんな風に世界を席巻するとは思ってもみませんでした。
さて、さっそくこの「a pen」に注目してみましょう。
「これはペンです」という表現ですが、aの役割としては
①数えることのできる名詞(=pen)の数が1つである
②数えることのできる名詞を初めて話題に出す(このとき初めて相手がその名詞について認識する)
という主に2つの役割があります。
もしこれを、「This is the pen.」と言ったら、それを言っている人と聞いている人双方には「どのペンのことを言っているのか」の共通認識があることになります。つまり、「This is the pen.」と言う前にすでにそのpenを何らかのかたちで紹介していて、「これがそのペンなのよ」というニュアンスになります。
theの役割としては
もうすでに話題にあがっているものを指し示す
となります。
話題にあげるまでもなくどれのことを言っているのか状況的に察しがつくときにも、theをつけます。
the sun(太陽)、the moon(月)、the earth(地球)などはそもそも宇宙にひとつしか存在しないので、最初から双方に共通認識があります。そんなときはtheです。
「my friend」は特定の誰かをイメージさせる
さてさて、a penとthe penの違いがわかったところで、本題です。
my friendのmyは「私の」という意味。friendの前に置くことで、「どの友達かというと、私の友達」と特定をしています。
つまり、my friendを使えるのは、theと同じように「話している側・聞いている側双方が誰のことを言っているのかわかる」という状況でなくてはなりません。
たとえば友達を連れてきて別な友達に紹介するときには、
This is Cathy. She's my friend.(こちらがキャシー。私の友達です)
Cathyが誰のことか明らかにわかるので、my friendを使います。
「a friend of mine」は誰なのかは重要じゃない
a friend of mineは、a friend + of mineですね。aがついているので、初めて話題に出すときに使うことが多いです。
I met a friend of mine yesterday, and we went to a cafe together.(昨日友達に会って、一緒にカフェに行ったんだ)
聞いている側は、そう言われて初めて相手の友達について認識をするわけです。
ちなみにof mineという見慣れないカタチについても触れておきましょう。
ofは「イチブトゼンブ」を表すときに使います。
A of Bというカタチで、B(全体)のA(一部)というイメージ。
first of all「まずはじめに」というフレーズがありますが、これは「言いたいことはいっぱいあるんだけど(=all)、そのうちのひとつめ(=first)について話しますね」という意味です。
a friend of mineといえば、「私には友達がたくさんいて(=mine)、そのうちの一人(=a friend)は」と言いたいので、このような不思議な形になります。
「a friend of meじゃダメなのか?」という質問が飛んできそうですが、meと言ってしまうと「私自身」を表すだけ。meが全体で、その一部がa friendとなり、私という人間の体の一部(あるいは心の一部)である友達、というニュアンスになってしまいます。
ネイティブに聞くと、a friend of meと聞いたら「友達が一人しかいないのか?」と思うそうです。
とにかく、a friend of mineのカタチを覚えてください。
※番外編「one of my friends」
one of my friendsという表現を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
これはa friend of mineとほぼ同じ意味です。「私の友達のうちの一人」と直感的にわかると思います。
さて、これまで何度か英語の微妙なニュアンスに触れた記事を書いてきていますが、実際に英語で会話をするときにニュアンスの違いをいちいち頭で考えるということはたぶんないです。そんなことしてたら会話に置いていかれますから。
だけど、普段なんとなくで使っていた表現が「実はこういう理屈があったんだ」と知ると、知的好奇心がくすぐられてより英語に興味が湧きますよね?
これからも皆さんの知的好奇心を震わせられるような内容を発信していけたらと思います。
Naoki