気をつけて!とっさの「Yes」が大きな誤解に、、、
英語を身につけるためには単語を覚えるだけでは全然ダメで、文法的な知識が必要だという話をこのブログでは口を酸っぱくして言っています。
先日、4月に渡航予定の生徒さんからこんな質問をいただきました。
「否定疑問文ってなんですか?」
否定疑問文なんて聞いたこともないという人も多いかと思いますが、実は現地での英会話ではよく登場します。しかも困ったことに、これが原因で意思の疎通がとれない日本人がとても多いんです。かくいう私も、否定疑問文を正しく理解していなかったために相手を混乱させてしまった経験がある日本人のうちのひとりです。
さあ、「否定疑問文」の一体なにが問題になるのでしょうか?
それはズバリ「答え方」です。
どっちが正解?
次の質問に対する答え方として適切なのはどちらでしょうか?
Didn't you do your homework?
(宿題やらなかったの?)
A. Yes. I was too sleepy to do it last night.
B. No. I was too sleepy to do it last night.
Aを選んだ方、おめでとうございます!
あなたはしっかり日本語をマスターしています!
そして現地では必ず相手を戸惑わせてしまいます!おめでとうございます!
実は、適切なのはBの方です。そのカラクリをご説明しましょう。
英語と日本語では答え方のルールが違う
まずは日本語で考えてみましょう。
「宿題やらなかったの?」と聞かれて「昨日眠くてできなかった」と言うとき、日本語ではまず「うん」「はい」と肯定的に受けます。
何に対して肯定的かと言えば、相手の発言に対してですよね。
「宿題やらなかったの?」「うん、やらなかった」が普通です。日本語では、相手の発言を肯定するんですね。
逆に「いや」「いいえ」と受ければ、その後ろは相手の言っていることに対する否定、すなわち「宿題やったよ」が続いてきます。
ところが、同じ感覚を英語に持ち込むと誤解の元になります。英語では、
・Yes ⇒ 肯定文を続けなければいけない
・No ⇒ 否定文を続けなければいけない
というルールがあるからです。
Yesで受けたら、後ろは絶対に否定文は来ないのです。先ほどの選択肢A、Bをもう一度見てみましょう。
Didn't you do your homework?
(宿題やらなかったの?)
A. Yes. I was too sleepy to do it last night.
B. No. I was too sleepy to do it last night.
ひとつ補足です。
中学英語でも習ったことがあると思いますが、Do you 〜 ? で聞かれたら Yes, I do. か No, I don't. と答えますよね。今回の選択肢のA、Bはその部分が省略されています。
なのできちんと書けば、こうなります。
A. Yes, I did. I was too sleepy to do it last night.
B. No, I didn't. I was too sleepy to do it last night.
これでおわかりでしょうか。
Aを選んでしまうと、「私は(宿題を)やった」と答えていることになってしまうんです。なのに、その後ろでは「昨日の夜は眠すぎてできなかった」と言っている。
これで見事に相手を混乱させることに成功するというわけです。
だからといって、Yes, I didn't. は絶対にNGです。いずれにせよ「どっちなの?!」と怒られますよ。
相手を混乱させないために
日本語と英語の言語的な相違点が原因になっているので、こういうのは本当に頭で理解することが大切です。
とはいっても、人によってはすぐに理解を必要とするでしょうから特効薬を処方します。
英語では常に、
・Yes ⇒ 肯定文が続く
・No ⇒ 否定文が続く
と考えるようにしてください。これは「常に」です。「常に」というのは言い換えると、「どうやって聞かれようが」という意味で捉えてください。
英語の疑問文には否定疑問文以外にも、普通疑問文や付加疑問文がありますが、どの疑問文で聞かれても答え方はまったくブレないのです。
日本語は相手の発言によって「はい」「いいえ」どちらで受けるかは変わります。
「お腹空いてる?」→「うん、空いてるよ」
「お腹空いていないの?」→「いや、空いてるよ」
「お腹空いてるんだよね?」→「うん、空いてるよ」
「お腹空いてないんだよね?」→「いや、空いてるよ」
ところが英語は上記のルールから、一貫して「常に」同じ答え方なのです。
Are you hungry? → Yes, I am hungry.
Aren't you hungry? → Yes, I am hungry.
You are hungry, aren't you? → Yes, I am hungry.
You aren't hungry, are you? → Yes, I am hungry.
日本人は特に文法が大事
英語はヨーロッパの諸言語と文法が似ていることもあり、フランス語・イタリア語・スペイン語・ドイツ語を操る人たちはそれほど文法を意識する必要はないのかもしれません。
ところが、日本語は英語と大きく構造が異なる言語です。文法ルールを知らずに英語ができるようになるはずがありませんので、ぜひ文法を勉強してください。
Naoki