クジラを一撃で解体する方法
高校で英語を勉強した方であれば一度は耳にしたことがあるでしょう『クジラ構文』
人間の記憶はなくなっていくものですので、「そんなの聞いたことがないよ」という人も大丈夫。
忘れているだけです。
今思い出しましょう。
A whale is no more fish than a horse is (fish).
(馬が魚でないのと同様にクジラも魚ではない)
これは、A is no more B than C is D. という形を用いて
「CがDでないのと同様にAがBではない」
という意味になる特殊な形です。
自分が高校生のときは、これを見て英語を嫌いになりかけたことを覚えています。
だって、意味不明じゃないですか。
わかるのは、whaleがクジラでfishが魚でhorseが馬だということだけ。
なにがどうなったら「同様に」になるのか、どうしてa horse isなのに「馬が魚でない」と否定になるのか。
考えれば考えるほどワケがわからないし、文法書にもただ意味が載っているだけでなぜそういう意味になるかは説明されていない。
「なぜ?」という疑問を持ちそれを解決しようとせっせと頑張ることが「学び」の原点なはずなのに、それを真っ向から否定されている感じです。
そして世の高校生たちは「どうせ暗記でしょ」と諦めて無理矢理覚えようとし、勉強が嫌いになる。負のスパイラルです。
さ、そんなネガティブサイクルを抜け出す一助となれるように、今回はこのクジラを解体していこうと思いますよ。
クジラ構文はnoの働きを理解すれば一撃で攻略できる
クジラ構文の鍵はnoにあると言っても過言ではありません。noを2つの側面から見てあげることがこの公式を理解することの1番の近道になります。
A is no more B than C is D.
という公式を使って説明していきます。
クジラ構文は一言では説明ができないですが、仕組みさえわかってしまえば簡単に意味がわかってしまいます。そんな快感を皆様には味わってもらいますよ。
ポイント①:(ー)×(+)=?
ポイントの1つ目は、noにマイナスイメージがあること。直後のmoreはプラスイメージですが、この2つを掛け算すると、
(ー)×(+)=(ー)
つまり、文自体がマイナスイメージ、否定文であることを示すことになります。
これにより、「AはBではない」ができあがります。
そして、このnoはthan以下にも作用していると考えてください。つまり、「C is D」と見かけ上は肯定文に見えるこの文は、実は「CはDではない」という否定文なのです。
ポイント②:比較級の直前の数=差
Yoshiki is four years younger than Daiki.
こちらの文の意味を考えてください。
これは、「YOSHIKIは大貴より4歳若い」という意味になりますよね。
ここで注目すべきは、youngerという比較級の直前にある four years。
「4歳若い」は言い換えると「若さの差が4歳」となりますよね。そう、比較級の直前にある数の表現は「差」を示すのです。
そこで、クジラ構文の公式に戻りましょう。
A is no more B than C is D.
ここでの比較級はmoreですが、その直前にあるnoはなんだと思いますか?
ご名答!
noは「ゼロ」を示す数の表現と捉えることができます。
比較級の直前にある数は「差」を示すという法則に当てはめると、「差がゼロ」となりますね。
「差がゼロ」ってどういうことかわかりますか?
「同じ」ってことですよ。
え?何と何が同じかって?
そんな野暮なこと聞かないでください。
A is no more B than C is D.
よく見てください、この公式にはthan(〜よりも)という単語が入っていますね。
thanはその直前と直後を比較するために使う接続詞です。
Yoshiki is four years younger than Daiki.
だったら、Yoshiki と Daiki の比較をしているのです。
では、この公式が比べているのは何かというと、
A is no more B と C is D
の2つ。
ポイント①で説明したとおり、それぞれ「AはBではない」「CはDではない」という意味ですね。
この2つを比べたうえで、両者の差がゼロ、つまり「同じ」だと言っているのです。
これで、クジラ構文:CがDではないのと同じようにAはBではない の完成です。
余談ですが、この文はあくまでも「AがBではない」ということを言うための表現です。そのため、比較対象となる C is D の部分には、「誰もがありえないとわかる事実」を置きます。
さぁ、では元の文に戻りましょう。
A whale is no more fish than a horse is (fish).
・no more は(ー)×(+)=(ー)なので否定文となり「クジラは魚ではない」
・noの(ー)はthan以下にもかかるので、「馬が魚ではない」
・noは差がゼロ=同じであることを示し、「クジラは魚ではない」と「馬が魚ではない」のは同じこと
・言いたいのは「クジラは魚ではない」
・「馬が魚ではない」という「誰もがありえないとわかる事実」を引き合いに出している
「馬が魚ではないのと同様にクジラは魚ではない」になりますよね?
Naoki