Second Cupの知られざる歴史
カナダは想像以上にカフェ文化です。
テイクアウトで購入したコーヒー片手に通学・通勤する人がものすごく多いですし、ダウンタウンには至るところにお店があります。
Wi-Fi環境も充実しているし、暖をとれるので、カナディアンにとってカフェは欠かせない存在です。
そんなカナダにおいて、スタバやティムホートン、マックカフェに並ぶ人気カフェが
「セカンドカップ」
1975年にトロントのスカボロータウンセンター(Scarborough Town Centre)で1号店をオープンすると、ぐんぐんと店舗数を増やし、今では国内に250店舗以上ある巨大カフェチェーンに変貌を遂げました。
半分以上はトロントのあるオンタリオ州、次いでモントリオールのケベック州、カルガリーのアルバータ州に多くあります。
トロントにある名門トロント大学(University of Toronto、通称U of T)のキャンパス内だけで、5店舗あります。
ちなみにセカンドカップのコーヒーはカナダの航空会社エアカナダ(Air Canada)機内でも飲むことができます。
セカンドカップに関しては、僕がここで述べたいことが2つあります。
ひとつは、元CEOのステイシー・モウブレイについて、もうひとつはモントリオールのセカンドカップのことです。
ステイシー・モウブレイの決断
2008年から2014年までセカンドカップのCEOを務めたステイシー・モウブレイ(Stacy Mowbray)は、カフェ戦争時代を生き抜くために「アンダーカバーボス」(Undercover Boss)というカナダのテレビ番組に出演することを決意します。
ステイシーは何をしたかといえば、セカンドカップの新入り従業員に扮しアルバイトスタッフからトレーニングを受けるんですね。
そうすることで、店舗のスタッフの対応や仕事の様子を自分の目でチェックし、しかもその様子をテレビ放送を通して世間に晒したのです。
※undercoverは「秘密でおこなう、スパイ活動に従事する」です。
最近Twitterなんかで投下されるバイトテロの動画じゃないですけど、もし企業の価値を落とすような行いが放送されてしまえば一気に炎上するリスクがあるなかで、思い切った決断です。
番組がYoutubeにアップされているので英語の勉強を兼ねて観てみてください:
Undercover Boss Canada - 1×7 - Second Cup
モントリオールのセカンドカップの悲しい過去
さて、モントリオールのセカンドカップは、店名がフランス語表記で「Les Café Second Cup」となっています。
「モントリオールはフランス語圏なんだからそんなの不思議じゃないだろ」と思うかもしれませんが、実はこの表記をするようになった背景には暗いストーリーが隠されているのです。
モントリオールのあるケベック州がカナダから独立したがっているというのはなんとなくご存知でしょうか。
現在のカナダに最初に降り立ったのがフランス人で、長らくフランスが支配していたのですが、途中からイギリスが介入してきて戦争の末にイギリスにほとんどの領地を明け渡したという過去があります。
特にケベック州は、フランス文化が残った数少ないエリアのため、今でも独立を求める声が強いんですよね。
カナダという国はどうやってできたのか?
ケベックの独立を求めて活動する過激派組織「ケベック解放戦線」(Front de libération du Québec)のメンバーの1人、レアル・マシュー(Rhéal Mathieu)は2001年、モントリオールにあったセカンドカップ(この時点ではまだ「Second Cup」という店名です)3店舗に火炎瓶を投げつけ有罪となりました。
(出典:
La Press)
どうしてそんなことをしてしまったのか?
それがどうやら、レアル・マシューは「Second Cup」が英語名しか取り入れていないことに腹を立て、フランス語表記にしろ!と主張するために火炎瓶を使ったのだとか。
文化とか政治的な主張に暴力を行使するんじゃねえよ、って思ってしまいますが、実際この事件の報道後、ケベック州にある多くのセカンドカップが「Les Café Second Cup」というフランス語表記に変更したそうです。
結果的に、暴力によって新たな歴史が始まったわけです。
以上、カナダの大人気コーヒーチェーン「セカンドカップ」のお話でした。
Naoki